プライベート日記 |
三点倒立 |
高校生の時いわゆるイツメンって言われる友達の中に 体操部のエリートがいました 運動神経がカンストしてて 何をやっても全部できちゃう そんな人間でした 彼は高校の卒業と同時に、旅に出ました みんなが進学、就職をする中 自分を探すための期間にするといい スマホやパソコンなどありとあらゆる連絡手段を絶って 行方不明になりました 2年の時が過ぎ、僕たちは成人になりました 迎えた成人式当日 旅に出た彼から連絡が来ました 「久しぶり。俺は本当の強さを手に入れた」 とだけ、短いですが確かに力強さを感じる文面でした。 そして、成人式の会場で出会った彼は なんだが優しい目をしていました。 会場に入る前、なんか紙みたいなのを受け取る列に並んでいる時に 「今何してんの?」って好奇心から聞きました。 彼は答えました 「ド田舎でパン屋さんやってるよ」と 彼にとっての強さとは 圧倒的な武力でもなく 運動神経から繰り出されるしなやかさでもなく 人々の美味しいっていう笑顔を見るために頑張る精神の事だったんだ、と 僕は深く考えさせられました。 これが彼の強さか。と 理解はしましたがやはり彼の口から良い言葉がが聞きたかったので 僕は「じゃあ君にとっての強さって…」と聞きました。 すると彼は答えました。 「あ、地方の遊戯王の大会で優勝したよ 結局カードゲームって社会人強いよな。金あるし」 と言いました。 パンも笑顔も関係ねーんかよ。 バカタレが。 |