| プライベート日記 |
| 机上のクーロン |
19歳の時 高校からの友達の家によく集まっていた お互い学生だったので 暇な時間をどうにかして潰そうと集まってはない知恵を振り絞っていた やることないなぁなんて言いながらうだつの上がらない毎日を過ごしていた夏休み ふと、机の上に大量の割り箸があることに気づく 学生の一人暮らしなんてものはコンビニで食欲を満たすもので 自炊なんてする方が珍しいくらいだ とにかく、貧乏性の友達は割り箸を余分にもらっていたので 大量に割り箸があったわけだ ものづくりに自信ニキの僕と友達だったので 割り箸で城を作ろうってことになった 近くのホームセンターでグローガンを買って ネットで調べた物を参考にして城を作ろうとなった 19歳男性 もちろんおつむはキッズなので イッチバンかっこいい造形物 九龍城を作る事にした。 厨二病真っ只中 正確にはお城ではないが ロマンを求め作り始めた。 九龍城は違法建築の塊みたいな物で アンバランスだったり明らかに危険な作りをしていたりして それすらも創作欲を掻き立てた まぁとやかくあって完成したのだが 僕たちの作った割り箸アートは 「机上の九龍城」と名付けられた 特に理由はなかったがその後 その友達とは会わなくなった 喧嘩したわけでも仲が悪くなった訳でもないが 遊ぶことが無くなった 風の噂で友達に彼女が出来たと聞いた 恐らくそのせいで時間が無くなったのだろう し、多分僕たちの夏休みの結晶であるあの城も 多分、ゴミとして捨てられたんだろうなぁとそこで悟ってしまった ものすごく寂しい気持ちになったが それは友達がいつの間にか大人になってしまったことや 時間をかけて作ったお城が壊されたことでもなく 時間としてではなく、精神的な部分での夏休みが 終わってしまった気分がしたからで 誰も悪くないのに落ち込んでしまった自分自身にも嫌気がさしてしまったからである それ以来、夏の終わりは何となく寂しい気がしている だから、夏のはじまりも嬉しいし悲しい だからせめて、毎年楽しい夏にしたいって 今は思えている。 |